2022年の長野県は大忙し。昨年より延期された「善光寺の御開帳」と大木が滑り落ちる奇祭で有名な「諏訪大社の御柱祭」が同年に開催という前代未聞な年を迎えています。
善光寺の御開帳はコロナ仕様で通常の2か月間から開催時期をさらに1か月延長の3か月間にしたのだから、地元民の意気込みは相当なもの。その熱は周辺地域を刺激し、お隣の中野市にも。御開帳を記念し、中野市の観光名所を巡るとキュートな虎の土人形がもらえるスタンプラリーを開催しています。
土人形って?
土を低火力で焼いて作る「土人形」は、日本の伝統工芸品のひとつです。京都の伏見人形、宮城の堤人形、長崎の古賀人形が三大土人形といわれていますが、長野県中野市など日本各地でも制作されていたのです。
土人形の魅力のひとつが、カラフルな装飾。素焼きの状態で絵付けを行うので、同じ型でも絵付けをした人によって違いがあり、それを見比べてみると面白いです。
中は空洞なので、持ってみると意外と軽いことに驚きます。現在、中野市の土人形は奈良家と西原家の2家族が制作し、同地域でありながら系統が異なることが珍しく、それゆえに中野市は「土人形の里」とも呼ばれているのです。
スタンプラリーを開催
2022年4月3日から6月29日の御開帳の時期に合わせて開催されるスタンプラリー。中野市内の観光施設に入場する度に、ころんとした可愛らしい虎の土人形「福虎」がもらえます。
対象となる施設は、「中山晋平記念館」「高野辰之記念館」「中野市立博物館」「日本土人形資料館」の4か所。全施設を巡った後に「信州中野観光センター」に訪れると黄金色に輝く福虎を最後にもらってスタンプラリー達成となります。
車・自転車で巡るのがおすすめ
全施設が中野市内に所在しているものの、効率良く巡りには乗用車か自転車での移動がおすすめ。車の場合、9時にスタートし、各施設をゆっくり見学しつつ、道中で昼食を済ませたとしても15時くらいにはゴールできるという、ちょうど良いボリュームです。
巡り方として、①高野辰之記念館→②中野市立博物館→③日本土人形資料館→④中山晋平記念館→⑤信州中野観光センター と最奥から中心地に向かうルートがおすすめ。走行距離は28㎞ほど。
最初の高野辰之記念館は午前9時から開館し、ゴールの信州中野観光センターは午後18時までの営業です。
中野市に詳しくなる5施設
観光というより福虎集めが目的だった人も、スタンプラリーに参加することで自然と中野市についての情報が蓄積されていくのが、このアクティビティの凄さ。
例えば「高野辰之記念館」では、学校で合唱した「故郷」や「春が来た」の作詞家だと知り、自分の学生時代に想いを馳せてしまうかも。「故郷」の歌詞で「兎追いし~かの山~」と登場する「かの山」も記念館から望め、そのなだらかで素朴な山容を目の前に思わず感慨に浸ってしまいます。
■高野辰之記念館の基本情報■
住所:長野県中野市大字永江1809
電話番号:0269-38-3070
開館時間:9:00~17:00(3月~11月)
休館日:4月~11月は無休、12~3月は月曜休館、12/29~1/3
https://www.city.nakano.nagano.jp/takanokinenkan/2020081900042/
中野市の郷土史がぎゅっと詰まっているのが「中野市立博物館」。銅鐸などが多数出土するほど太古より人類が中野市に暮らしていた歴史や、チョウゲンボウという鳥を繁殖させようとしている現代の活動などを学べます。
また博物館は丘の上に位置しているので、ここからの眺めが抜群です。
■中野市立博物館の基本情報■
住所:長野県中野市大字片塩1221
電話番号:0269-22-2005
開館時間:9:00~17:00(3月~11月)
休館日:火曜、12/29~1/3
https://www.nagano-museum.com/info/detail.php?fno=28
スタンプラリーの目玉である土人形を詳しく解説している「日本土人形資料館」。作り方から始まり、全国各地から集めた様々な土人形を展示しているので、今まで土人形を知らなかった人も最後には語れるほどの知識を習得できるはず。こちらでは絵付け体験も受け付けています。
■日本土人形資料館の基本情報■
住所:長野県中野市中野1150
電話番号:0269-26-0730
営業時間:9:00~17:00(3月~11月)
休館日:木曜、12/29~1/3
https://www.city.nakano.nagano.jp/docs/2014011701328/
土人形だけでなく、音楽も中野市を代表する要素だと分かるのが「中山晋平記念館」です。本日2回目の音楽家に関する観光施設で、中山さんは童謡「シャボン玉」や東京ヤクルトスワローズの応援歌でもある「東京音頭」を作曲した方。最初に訪れた高野さんとは一転、洋風な建物です。
■中山晋平記念館の基本情報■
住所:長野県中野市大字新野76
電話番号:0269-22-7050
営業時間:9:00~17:00(3月~11月)
休館日:4月~11月は無休、12~3月は月曜休館、12/29~1/3
https://www.city.nakano.nagano.jp/nakayamashinpei/2022012500017/
スタンプラリーのゴールは、高速道路のインターに近い「信州中野観光センター」にて。ご褒美の福虎は豪華なゴールド仕様になっていて、こちらではおみやげも販売。充足感を感じながら買い物も同時に楽しめます。
スタンプラリーのゴール地点は、高速道路のインターに近い「信州中野観光センター」。おみやげも販売しているので、買い物も同時に楽しめます。
■信州中野観光センターの基本情報■
住所:長野県中野市草間1539-1
電話番号:0269-23-5581
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休
https://www.city.nakano.nagano.jp/docs/2014011603080/
徐々に集まってくると瞳のある虎がいたり、顔が小さな虎がいたりと個性が見えてきますが、これも全部手作りならでは。お腹部分の虎の字も明朝体だったりポップ体だったりするので、ぜひ注目してみてくださいね。
個人的おすすめ施設
どの施設も大規模ではないので、ゆっくりでも1時間~1時間半で見て回れます。5施設巡りましたが、「日本土人形資料館」が土人形ワールド全開で、とても楽しみました。
中野市の郷土玩具でありながら、その運命は2世帯に委ねられていることに心細さを感じるものの春には「中野ひな市」という土人形の即売市が行われ、全国から愛好家が集結する催しがあり、中野市にとって土人形は既に欠かせない存在なんだなと感じました。
2世帯(奈良さんと西原さん)で製作しているだけあって、世代交代の情報や親父さんと息子さんの作品が並んで展示されているなど、まるで知り合いの展示会にいるような親近感。作品と自分との距離が近い資料館です。
戦国武将のほか、クスっと笑っちゃうような可愛い動物たちも展示。全国各地の土人形も展示されているので、もはや一生分の土人形を観賞したのではないかという気持ちになりました。
こんな人に行ってほしい!
中野市がどんな場所なのか、その魅力をコンパクトに体感できるスタンプラリーですが、そうはいっても福虎の存在は絶大。スタンプラリー効果で、圧倒的に女子旅で訪れる人たちが多いと聞き、「可愛い」の影響力は凄いです。
寅年はもちろん、可愛いもの好きな人にぴったりなお出掛け場所。また善光寺を訪れた機会に、長野をもっと楽しみたい方にもおすすめ。中野市からは飯縄山や戸隠山など、この地域を代表する5山を総括した「北信五岳」すべてを見渡せ、その光景は思わず感嘆してしまう美しさです。
2022年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。