【旅記事】フランスxドイツ風:おとぎの国みたいな町「コルマール」& おすすめスポット5選

初めてなのに見覚えがあるような不思議な気持ちになる「コルマール(Colmar)」。

フランスとドイツの国境付近、アルザス地方に位置するこの町は、歴史の荒波に翻弄され、ドイツだったり、フランスだったり、ドイツになったと思ったら再びフランスになったりと、何度も国が変わっています。2か国の影響を受け、旧市街を歩くとドイツ特有の木組みの家が連ねていますが、フランスの気質を受け継いだ住民はそこに可憐さを加えるべくパステルカラーで彩りました。そのおかげで、おとぎ話に登場しそうな町並みが評判を呼び、映画のモデルになったという噂も。

秋晴れのなか、ドイツのフランクフルトから日帰りで、このチャーミングな町に訪れました。

日の出前、フランクフルト中央駅に集合

木々が色づき始め、ダウンジャケットが欲しくなる10月中旬。早朝6時にフランクフルト中央駅に向かうべく、最寄り駅から電車に乗ります。

6時半ごろに到着すると、今日乗る予定のICEは既にご到着。まだ日も昇ってない暗い状態ですが、フランクフルトから隣国への鉄道が頻繁に出発するだけあって、ビジネスマンや旅行客の姿も大勢です。

今回、乗車したICE9568は、フランクフルトを6時56分に出発。その後、フランスを目指し、国境の町ストラスブールには8時47分着。そこからローカル線に乗り換えること約30分でコルマールに辿り着きます。

料金は片道ひとり€30(約4,000円)。移動距離は約200㎞と東京駅から静岡県の掛川駅くらいまで。金額は東海道新幹線の約半額なので、やっぱりヨーロッパの鉄道旅は日本に比べて割安です。

途中、ドイツからフランスに越境しますが、シェンゲン協定を2国が結んでいるので、乗車中も入国審査はなく、チケットの確認のみで済みました。コロナ禍ということもあり、車内は要マスク着用ですが、旅行に関する規制もないので車内は意外と混雑。旅行する際は座席指定がおすすめです。

ストラスブールで乗り換え

ヨーロッパでは珍しく、予定どおりにストラスブールに到着。駅に降り立つと言語はフランス語、駅に併設しているパン屋もPAULになっていて、異国に来た感がグッと感じられます。

ローカル線は事前予約をせず、ストラスブールの駅で切符を購入しました(往復ひとり約€14)。自動券売機で目的地を指定し、スケジュールの中から希望の電車を選択します。その際に年齢を尋ねられますが、60歳以上だと€1~2ほど割引を受けられ、ドイツとの違いをここでも発見。

再度ホームを目指します。ローカル線ことTERはICEに比べ、車両も古かったのですが、椅子がソファのように柔らかく、快適でした。車窓からは田園風景が見渡せ、遠くの山にはいくつか城塞も築かれているなど、終始のどかな雰囲気に気持ちも緩みます。

出発から約2時間半後、コルマールに到着

コルマール駅に到着するも、駅があるのは新市街なので、旧市街を目指します。駅から旧市街までは徒歩約13分。私たちは時計回りのようにぐるっと巡る行程で向かったので、駅前の大通り、レピュブリック通り(Av. de la Republique)をひたすら歩きました。

途中のシャン・ドマルス公園(Parc du Champ de Mars)では、立派なメリーゴーランドを発見。さしずめデパートの屋上にあった観覧車のような、非日常な輝きを放っていました。白馬や気球の乗り物など、おとぎの国にはメリーゴーランドがよく似合います。

おすすめスポット①アンシ美術館

路地が狭くなるにつれて年季を帯びた建物も登場し、自分が中世時代にタイムスリップしているよう。最初の目的地だったアンシ美術館(Musee Hansi)は、ちょうど新市街と旧市街の境目にあります。

本名はジャン゠ジャック・ヴァルツですが、ペンネームのアンシさん、もしくはアンシおじさん(Oncle Hansi)と呼び親しまれている彼の正体は絵本作家です。

アルザス地方の伝統衣装に身を包んだ子供たちのイラストがとにかく可愛いです。コルマールの町並みも描いていて、暗闇に町灯りがほのかに照らされた夜のシーンは、まさに幻想的。今にも魔法使いが登場しそうな、物語の空気を纏っています。

1階はアンシさんグッズのほか、アルザスの名産品も並んでいるのでお土産にもぴったり。2階が博物館になっていて、2階に上がる際は1階レジで入場券(ひとり€5)を購入します。

ありとあらゆるクッキーが棚を占領している様子は、子どもだけでなく大人だって興奮するはず。クッキー単体でも販売していますが、アンシさんのイラスト付き缶とセットにすれば、それだけでコルマールを代表するギフトになります。缶のみの購入も可能です。

女の子が頭にかぶる黒い布は、ボネ・タ・ヌ(bonnet à noeud)と呼ばれ、白が一般的な一方で、黒はアルザス特有で、キリスト教でもプロテスタントの方が被ります。カトリックが大多数を占めるフランスでは珍しく、アルザス地方はプロテスタントが多いため、自ずとアルザスの民族衣装になりました。

2階の美術館エリアは、さーっと見学すれば約30分で一巡できる規模。子どもたちの様子やアルザスの町並みに癒されるだけでなく、壁に描かれたちょっとした挿絵的イラストも色がカラフルでかわいいです。

第2次世界大戦の最中を生き抜いたハンジさん。反ドイツっぽい作品も見られ、イラストに潜む怨恨もうかがえます。

カラフルな色使いは周囲を明るくし、多色なのに統一感が感じられる絶妙な塩梅です。Hansiと表記されているので、「ハンジ」さんと呼んでいましたが、フランス語では「H」は発音しないことを忘れてました。正確には「アンシ」さんです。

<アンシ美術館の基本情報>
https://www.hansi.fr/fr/
住所:28 Rue des Têtes 68000 Colmar
営業時間:月曜-金曜10:00~12:30 13:30~18:00、土日10:00~18:00
定休日:12/25、1/1
美術館入場料:€5(14歳以上)、€3(子ども5~13歳、15名以上の団体)、5歳未満は無料

おすすめスポット②サン=マルタン参事会教会

旧市街の中心にそびえているサン=マルタン参事会教会(Collégiale St-Martin)。100年以上の歳月をかけて完成に至った教会は、ロゼのような淡いピンク色の外見が特徴で、あたたかみが感じられます。

フランスの教会といえば、荘厳なノートルダム寺院や華やかなバラ窓を思い浮かびますが、こちらも一歩足を踏み入れれば俗世間と切り離された静寂な世界が広がっていました。

<サン=マルタン参事会教会の基本情報>
住所: 18 Pl. de la Cathédrale, 68000 Colmar

教会から徒歩約5分の場所で、キュートなパン屋さん(Boulangerie Pâtisserie Claude Kraetz)も見つけました。最初に目を奪われたのが赤やピンクの満開な花壇だったのですが、よくよく視線を凝らしてみるとパン屋さんらしい装飾も施されています。

雨戸にはありとあらゆるパンが装飾されていて、看板の役割も。ここでクロワッサンを購入したのですが、しっとりした食感がやわらかく、噛むごとにバターの旨みが広がりました。ほかにも秋ならではのモンブランや、フランスらしいエクレアも並んでいて、目移りしてしまいます。

<パン屋さんの基本情報>
ウェブ:https://www.boulangerie-kraetz.fr/
住所:6 Pl. Jeanne d’Arc, 68000 Colmar

おすすめスポット③プフィスタの家

コルマールは、どこか見覚えある町並みと表しましたが、実はジブリ映画『ハウルの動く城』、ディズニー映画『眠れる森の美女』の舞台として、たびたび話題に取り上げられているのです。

特に有名なのが、プフィスタの家(Maison Pfister)。1537年に建てられた、コルマールで最初のルネッサンス建築です。帽子屋さんのために建てられたという背景に加え、『ハウルの動く城』にも登場しているので、ジブリ好きにはたまりません。

とんがり帽子型の緑色の屋根が目印です。建物は現在、ワイン専門店となっています。右奥には、先ほどご紹介したサン=マルタン参事会教会が控えているという近さです。

<プフィスタの家の基本情報>
住所:11 rue des Marchands 68000 Colmar

おすすめスポット④リトル・ヴェニス

プフィスタの家がある小径は、お土産屋さんやレストランも多く、ぶらりと歩きやすい雰囲気です。アルザス地方はワインも有名なので、1~2本お土産に買って帰るのもおすすめ。

ドイツのリューデスハイム同様、リースリングの白ワインが豊富ですが、果実の澄んだ甘さが際立つピノ・ブランなどの白ワインのほか、赤ワインも造っているなど選択肢が多いです。

さて、「ラ・プティット・ヴニーズ(La Petite Venise)」、通称リトル・ヴェニスと呼ばれるエリアが美しい、かわいいと評判なので、ロシュ川を目指します。

到着した途端、「ここは本当に町なの?!」と疑いたくなるほど、華やかな光景が広がっていました。川に沿うように木組みの家々が並びますが、その色合いがカラフルで、まるでファンタジーランドや絵本の世界そのもの。

テーマパークだと言っても通用しそうな、むしろ非現実の世界を演出するのにうってつけな色使いです。しかし、実際にこの建物には歴史があり、今も住民が暮らしているのですから、一般の住宅に代わりないと思うと、余計に不思議な気持ちにさせられます。

リトル・ヴェニスと称するように、こちらでは小型船ゴンドラで水路を巡ることもできます。

<ラ・プティット・ヴニーズの基本情報>
住所:Quai de la Poissonnerie, 68000 Colmar

おすすめスポット⑤屋内市場

ラ・プティット・ヴニーズの斜め後ろ、オープンテラスの席が川にせり出ている大きなレンガ造りの建物(写真右)がありますが、これは「屋内市場(Marché couvert Colmar)。1865年に建造され、入っているお店は20店舗ほど。

野菜や果物をはじめ、ハム、ソーセージからチーズ、それにパンやケーキなど、ありとあらゆる食材が並んでいて、なかにはアーティチョークなど普段見かけない品種も。

精肉店やベーカリーにはイートインのスペースもあり、ここでランチをするのもおすすめです。入り口近くにはワインを扱っているお店もあり、平日昼間でも旅行客や地元の人たちで大賑わい。購入した食品は、ロシェ川に面したテラス席でも食べられます。

<屋内市場の基本情報>
https://www.marche-couvert-colmar.fr/
住所:13 Rue des Écoles, 68000 Colmar
営業時間:火曜-金曜8:00~18:00(木曜は7:00から、金曜は19:00まで)、土曜8:00~17:00、日曜10:00~14:00
定休日:月曜

リトル・ヴェニスを後にし、そのまま私たちはコルマール駅へ。道中でも、思わず写真を撮りたくなる風景が待ち構えていて、常にウキウキ気分でした。

リトル・ヴェニスからコルマール駅は、徒歩約15分。コルマール駅には簡単な売店のほか、公衆トイレもありますが、できればコルマールでの利用がおすすめです。

滞在時間は約4時間と小さな町を巡るには十分でしたが、それでも食事はパン屋さんで買ったクロワッサンをササっと食べるのみでした。町散策に加え、ランチをしっかり食べたり、ウンターリンデン美術館で近代美術を観賞したりする場合は、プラス1~3時間を見ておくと安心です。

コルマールの観光サイトには、日本語表記も対応しており、日本語の地図もダウンロードできます。

タダで終わらせないヨーロッパ旅を痛感した帰路

ストラスブールも満喫したかったので、帰りの電車までの約2時間を旧市街で過ごしました。大聖堂周辺はレストランやスーパーマーケットもあり、最後の駆け込みショッピングにぴったりです。

帰りの電車、ICE9563はストラスブール17:13発で、フランクフルトには18:58着。17時にストラスブール駅に戻り、乗車の準備をしていると自分たちが乗る電車だけ到着ホームが表示されていません。嫌な予感しつつ確認してみると、ここにきてのまさかの55分遅れ。代わりになる電車もなかったので、そのままストラスブール駅で時間を潰すことになりました。

ここまで時間通りに運行していたので、ヨーロッパの鉄道旅も素敵だと感じていた反面、期待を裏切らないどんでん返しに、やっぱりと確信。最終的には1時間10分ほど遅れてフランクフルトに到着しました。

ドイツ鉄道(DB)では電車が1時間以上遅れると、遅れた時間に比例して返金が生じます。ドイツ国内なら窓口で現金による返金もしくは銀行振込になります。しかし、今回は2か国を跨いでいたので銀行振込のみの対応。ウェブ申請か窓口で所定の用紙を記入後、約3週間で口座に振り込まれるとのことです。

今も住民が暮らす、おとぎの国コルマール

フランクフルトから約2時間半と日帰りも可能な「コルマール」。ドイツにフランスと歴史ごとに統治国が変わった町ですが、その影響を受けて2か国の文化が融合した町並みは、どこまでも巡ってみたくなる魅力を放っています。

また町を魅力的にすることで、「統治国に振り回されているだけじゃないんだぜ!」とコルマール人の気骨も感じられました。かわいいだけに留まらないからこそ、深みを求める映画業界の人たちをも魅了したのでしょう。

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