愛知県犬山市にひっそりと佇む「博物館明治村」。
緑の自然に囲まれた一帯には、石造りの巨大建築が点在し、特異な雰囲気を放っています。
もともとはフランク・ロイド・ライトが手掛けた帝国ホテルが気になって訪れましたが、
日本人が建設したとは思えない教会や銀行、それに監獄に民家など幅広い建物群は見ごたえ十分。
積極的に西洋技術を取り入れ、でも、日本が培ってきた技術も活用した時代。
新しいものが誕生する際に派生する、とてつもないエネルギーが今も建物の随所に息づいています。
博物館明治村とは?
明治時代に築かれた洋風建築を保存・展示している野外博物館。
重要文化財11件をはじめ、67件の建造物が移築されています(なかには海を渡った海外で建てられたものも)。
見学する対象が建物だけあって、敷地は広く、一日ですべてを見るには一苦労。
建物のアナウンスを聞きながら周回できる村営バスの利用がおすすめです。
帝国ホテル中央玄関
関東大震災の日にオープンするはずだった帝国ホテルは思ったより高さがなく、横広な印象。
大谷石をつかったロビーは吹き抜けで、各階の高さが低いからミルフィーユみたい。
でも、家具なども残っていて細かな装飾がすごいです。
高田小熊写真館
高田小熊写真館は洋風木造二階建の写真館。
光を取り入れるため、屋根を全面ガラス張りにするなど当時の取り組みがうかがえ、その甲斐あって建物も明るく開放的。
文明開化の花形職業として高収入と名声を得ていたなんて信じられないけど、でも、始まったばかりの文化が発する熱の余韻がありました。
金沢監獄中央看守所・監房
八角形の中央看守所を中心に、舎房が放射状に伸びてて見通しが良いです(逃亡を防ぐためだから、当然と言えば当然だけど)。
機能的な建物って、かたちが美しくて、それだけにここが監獄として使われていたなんて俄かに信じがたい。
普段見ることがない建物に触れられるのも博物館の醍醐味ですね。
内閣文庫
明治政府の中央図書館。まるでヨーロッパやアメリカ東海岸に建っていても不自然じゃないほど。
日本=木、欧米=石 の建物なので、国内でこんな建物が軒を連ねていたら、そっちの方が違和感ありそう。
大明寺聖パウロ教会堂
長崎県にあった大明寺聖パウロ教会堂は、歴史の生き証人ともいえる建物。
普通の農家屋敷に鐘楼が軒先に備え付けられた、馴染みのある外観が一歩内部に入れば一変。
ゴシック様式で見る、交差リブヴォールトが施されていますが、日本らしいのが木材でつくられているところ。
さらに漆喰も塗り重ねられていて、だからこそ、石に比べて柔らかみが感じられます。
時はキリスト教禁制の影響が残るころ。
情報が少なく緊迫もあるなか、外観と内装を工夫したり、細部まで愛情と情熱をもって取り組んだり。
この教会堂は長い年月の間、色々な人の想いを受け止めて、見守ってきたのでしょう。
聖ザビエル天主堂
日本で有名なフランシスコ・ザビエルを記念して建設された聖ザビエル天主堂。
壮大さに圧倒されますが、目を引くのが色鮮やかなバラ窓。
フランス人神父が本国から取り寄せた設計原案を日本人が手掛けたと聞き、納得。
バラ窓といえば、やっぱりこの国です。
ここに訪れるなら晴天日和の午後。
太陽光を浴びたステンドグラスが建物内部を照らし、儚くも美しい奇跡を目撃できます。
満ち足りた空気に包まれ、穏やかなひとときを。
<博物館明治村の基本情報>
住所:愛知県犬山市字内山1番地
営業時間:9:30~17:00の間
*訪問する月によって異なりますので、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
定休日:不定休
アクセス:「名鉄犬山駅」下車し、バスにて約20分(名鉄電車・バスとコラボしたフリーパスも販売)
名古屋「名鉄バスセンター」・「栄」から明治村行きの高速バスが毎日運行
https://www.meijimura.com/