ミュージアムフリーパス対象の6美術館は西洋画、日本画といった絵画だけでなく、彫刻やガラスなどジャンルもさまざま。飽きることなく幅広い芸術に触れられます。
キラキラ世界にため息「箱根ガラスの森美術館」
男性ボーカルの陽気な「ガラスの森~」というBGMがエントランスで颯爽に流れ、イタリアらしい軽妙さの洗礼を到着後すぐに浴びるのが、「箱根ガラスの森美術館」です。日本初のヴェネチアン・グラス専門の美術館で、屋外と屋内の両方にガラス作品が展示されています。
館内には繊細な模様や色付けに目を奪われる中世時代のヴェネチアン・グラスが展示され、どのような工程でレース柄のガラスが出来上がるのかというのも実物で順々に紹介しているので分かりやすいです。しかし、美術館でひときわ輝きを放っているのが庭園。陽光に照らされ、クリスタルガラスで表現された光の回廊「コッリドイヨ」をはじめ、「水上花火」や「ススキ」、「ローズガーデン」など、ここでしか見られない四季の風景があります。
<箱根ガラスの森美術館の基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
電話番号:0460-86-3111
開館時間:10:00~17:30 ※最終入館は終了30分前
休館日:なし
アクセス: 箱根登山バス「俵石・箱根ガラスの森前」下車すぐ
https://www.hakone-garasunomori.jp/
王道なThe美術館「ポーラ美術館」
森の中にたたずむ外観から、すでに美しさが醸し出ている「ポーラ美術館」。ポーラ創業家2代目のコレクションを展示していますが、その数は1万点というから驚きです。モネ・ルノワール・ピカソなど西洋画が中心ですが、日本画や陶磁器、ガラス工芸に化粧道具など多岐にわたります。
在籍している9名の学芸員さんによって実施される企画展も興味深いです。ミュージアムフリーパス期間中はモネとマティス2名に焦点をあてたものが開催されているほか、次回は日本とフランスの150年を紹介するなど、概要を読むだけで再訪したくなります。これからの季節は美術館の周りを歩く「森の遊歩道」も、清々しい箱根の空気や自然を満喫できるので歩きやすい靴で訪れてみてください。
<ポーラ美術館の基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号:0460-84-2111
営業時間:9:00~17:00 ※最終入館は終了30分前
休館日:年中無休(展示替えにより臨時休館する場合も)
アクセス:観光施設めぐりバス「ポーラ美術館」下車すぐ
https://www.polamuseum.or.jp/
メルヘンな世界にウキウキ「星の王子さまミュージアム」
バスの窓から温和な南仏の邸宅が見え、美術館に入る前から気分がワクワクしてくるのが「星の王子様ミュージアム」です。日本でも人気な『星の王子さま』の世界と、作者であるサン=テグジュペリの生涯を紹介しています。敷地内には作者にゆかりのあるフランスの街並みを模した場所や、幼少期に過ごした別荘・チャペルも再現され、どこにカメラを向けても絵になる可愛い世界です。
庭園もガーデンデザイナーの吉谷桂子さんという知る人ぞ知る方が手掛けています。他にも、本格的な謎解きを実施していたり、お子さん用のワークブックが用意されていたり、さらには作者の生涯も波瀾万丈で興味深かったりと、星の王子さまをメインに訪れても、様々なおまけを堪能できる場所です。
<星の王子さまミュージアムの基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原909
電話番号:0460-86-3700
開館時間:9:00~18:00 ※最終入館は終了1時間前
休園日:第2水曜日(9/9、10/14)
アクセス:箱根登山バス「川向・星の王子さまミュージアム」
https://www.tbs.co.jp/l-prince/
ひとりの天才に密着「箱根ラリック美術館」
フランス出身のジュエリーデザイナーであり、ガラス工芸家でもあり、そのうえ空間演出家でもあるルネ・ラリックの芸術品が一堂に会している「箱根ラリック美術館」。
ひとりの芸術家を専門にしている美術館は、箱根のなかでも珍しいですが、きらびやかな一点もののジュエリーから、壁を鮮やかなに彩るガラス細工のインテリア、そして手のひらサイズの細かな装飾が光る香水瓶など、学芸員の林田さんが「同一人物とは思えないくら作品が多種多様なんです」という言葉に納得するほど、見ごたえがあります。
さらにレストランが2種類あり、ラリックが手掛けたオリエント急行の車内でいただけるティータイムは、タイムスリップしたような優美な世界に浸れます。
<箱根ラリック美術館の基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原 186-1
電話番号:0460-84-2255
開館時間: 9:00~17:00 ※最終入館は終了30分前
休館日:年中無休(展示替えにより臨時休館する場合も)
アクセス: 箱根登山バス「仙石案内所前」下車、徒歩1分
http://www.lalique-museum.com/
現代アートが遊具と化す「彫刻の森美術館」
広大な敷地に巨大彫刻がのびのびと展示され、清々しい気分になれるのが「彫刻の森美術館」です。日本で初となる野外美術館として1969年に開館しました。周囲は箱根の山々に囲まれ、時おり登山電車が走る姿も眺められます。
120点の彫刻が展示されているほか、巨大な体験型アート作品「ネットの森」は、子供たちが目を輝かせながらネットで飛び跳ね、大人さえも遊びたいなぁという羨ましい気持ちにさせられます。
奥にはパブロ・ピカソの作品が並ぶ「ピカソ館」や、源泉かけ流しの足湯、高さ18mのステンドグラスがそびえる「幸せをよぶシンフォニー彫刻」も。視覚だけでなく、アートに触れて、楽しめる美術館です。屋内にも展示品はありますが、メインは屋外なので、日焼け対策や防寒対策をしていくと心強いです。
<彫刻の森美術館の基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
電話番号:0460-82-1161
開館時間:9:00~17:00 ※最終入館は終了30分前
休館日:なし(悪天候で臨時休館する場合も)
アクセス:箱根登山バス「彫刻の森」下車すぐ
https://www.hakone-oam.or.jp/
日本の芸術と風景に出合える「箱根・芦ノ湖 成川美術館」
観光名所の芦ノ湖に静かにたたずむ「箱根・芦ノ湖 成川美術館」。現代日本画を専門とする美術館で、所蔵数は4,000点と国内最大級の規模を誇ります。展示替えは年3回行われ、一年を通じて様々な日本画を鑑賞できるのが魅力です。さらに美術館では珍しいスタンプカードも実施しています。
そして、こちらの美術館で目を奪われるのは何も絵画だけではありません。重厚な門を通り、美術館に到達するまでエスカレーターを3台も乗り継ぎますが、その甲斐あって展望ラウンジでは雄大な芦ノ湖の景色を見られるのです。
併設しているティーラウンジ「季節風」では作家が造った器で抹茶をいただけるほか、富士山ビールも販売。ここに訪れるときは、ぜひ景色を鑑賞する時間も取っておいてほしいです。
<成川美術館の基本情報>
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根570
電話番号:0460-83-6828
開館時間:9:00~17:00 ※最終入館は終了30分前
休館日:なし
アクセス:箱根登山バス「元箱根港」下車、徒歩1分
http://www.narukawamuseum.co.jp/
ミュージアムフリーパスで素敵な秋のひとときを
ミュージアムをスタンプラリーのように巡れる箱根の「ミュージアムフリーパス」。これも箱根に多くの美術館が集まっているからこそ楽しめる過ごし方。2020年の秋は実り豊かな芸術の秋となりそうです。ぜひ訪れた際は、紅葉に負けないくらい色鮮やかでジャンルを超えた多種多様なアート作品との出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。