スペイン「アルカサル」緻密に整えられた王たちの楽園

スペイン南部のアンダルシア州は太陽が燦々と輝き、まさにスペインらしさが感じられる場所です。イスラム文化が絶頂期を迎えたころ、コルドバは中心地でした。2色アーチが並列するメスキータ、古代ローマ時代に築かれたローマ橋など街全体がユネスコ世界遺産に登録され、キリスト教の王たちが暮らした宮殿「アルカサル」も含まれます。宮殿の奥には、イスラム建築の様式を取り入れた幾何学模様の庭園が広がり、涼やかな水音が響く癒やしのスポットになっています。

庭園は地上の楽園

スペイン各地に残されている「アルカサル」。もともとはアラビア語で「城」や「王宮」「城塞(要塞)」を意味する「アル・カスル(al-qasr)」が語源です。

コルドバのアルカサルは、14世紀にカスティーリャ王アルフォンソ11世によって建てられた宮殿兼要塞です。外観は4つの塔を持つ頑丈な城壁に囲まれた厳めしい要塞ですが、その奥にはまるで楽園のような緑豊かな広大な空間が。

ここはかつてカトリック両王(イサベル女王とフェルナンド国王)が拠点とし、歴史的な軍事作戦の指揮を執ったほか、新大陸へ向かうクリストファー・コロンブスが支援を求めて謁見した場所としても知られています。

乾燥した気候の中で水は非常に貴重であり、水と緑を満たした庭園は「地上の楽園」を象徴していました。その伝統が庭園設計の根底に深く息づき、今も庭師によってイスラムの楽園思想が受け継がれています。

古代ローマの美を宿す、圧巻のモザイク

宮殿の随所でモザイク画が展示されています。なかには地下から出土した古代ローマ時代(2〜3世紀頃)の貴重な作品も。天然石を緻密に組み合わせて描かれた神話の世界や幾何学模様は、イスラム文化とはまた異なる、古代ローマの栄華を今に伝えています。

王が見た景色をなぞる、塔からの絶景