【ヘキストx事件】薄くなる汚染の悲劇と復活劇

先日書いた「フランクフルトから日帰り!木組みの町”ヘキスト”へ」のサイドストーリーを。

フランクフルト中心地から西10kmに位置する町「ヘキスト(Höchst)」。

第2次世界大戦で壊滅状態に陥ったフランクフルトですが、ここは奇跡的に被害が最小限だったことで保護文化財の木組みの
家がたくさん残る、ドイツらしいメルヘンな雰囲気が感じられます。

平日もカメラを下げた人が私以外にもちらほら見かけ、レストランも多いので活気が感じられます。
あとマイセンに次ぐ歴史が長い陶磁器の工房もあることから、ヘキストと聞くと”木組みの町”、”陶磁器の町”と思い浮かべる人が多いかと。

と記事にも書いたのですが、実はヘキストにはもう一つ別の顔があります。

それも”環境汚染の事故が起きた町” 。

1993年2月22日。化学企業ヘキスト社が11トンの化学混合物を周辺に漏洩してしまいます。
ドイツでは、この事故を通称、黄色い雨という意味の ”ゲルバー・レーゲン(Gelber Regen)” と呼ぶことも。
実際に黄色い雨が降ったのかは定かではありませんが、90名以上が環境汚染による不調を訴えました。

環境保全に力を入れているドイツらしからぬ事件だし、ピンポイントで探さないと事件自体がネットでなかなか見つかりません。
現にヘキスト社のwikipediaには載ってないから驚きです。

当時フランクフルトに住んでいたにも関わらず、私自身は事件のことを全然覚えてませんでした。
ただ母だけは、ヘキストと聞いてこの事件を一番に今回言ってきたので、ここで暮らしていた当時は本当に世間を騒がせていたんだなぁと感じてます。

そんな悲しい事件に見舞われたヘキストですが、旧市街やマイン川沿いを歩いていても、今は穏やかです。
人間よりも過敏な(はず)水鳥も多く生息していて、午後のお散歩コースにぴったり。白鳥がモデルのごとく、ポーズを決めてくれます。

何も知らないでこの地に立つと、中世の頃からここは平和だったんだなぁと勘違いしてしまうくらい。

でも、それは事件後も住民がここに暮らし続け、昔からの雰囲気や文化を大切に継承してきたからこそ。

住民が事件前の穏やかだった日々を自力で取り戻し、培った努力の結晶だと思います。

事件があったことは隠せないし、でもわざわざ露呈させる必要もないと思います。
ただそういう事もあったんだと頭の片隅に置いておいて、今のヘキストを見ると、可愛い町並みに美しさやしなやかさも垣間見えてきて、
私はよりこの町の強さを感じられるのです。